ネガティブワード(禁制)

育つ環境は、とても大事である。
家庭内での何気ない話し言葉は、とりわけ成長に影響する。

「そんなこと、ダメよ」
「いけません」

日常会話の中に、よく出てきそうな文言。
我が家では母が年中、口にしていた。

どれがダメなのか、「ダメなことリスト」が頭の中に蓄積される。
しかし肝心の「どれがOKなのか」は、わからずじまいで蓄積されない。

「ダメ」というとき、相手に伝えるべき内容は、「それ=ダメ」ということだけではない。

なぜ、ダメなのか。どれなら、大丈夫なのか。
そこまで説明して価値観のすり合わせも行って、やっと互いに納得できる。

とはいえ、そんなことは理想論で、実際の会話ではスピードが重視される。
言っても聞かないから、「ダメ!」という便利な言葉を使うのだ。

余裕がないときに、どう素早く相手に理解させるか。
相手の頭で考えさせ、当人が答えを出せるのが、いちばん望ましい。

「あれ?それでいいんだったっけ?」
「んんん??そういう風に教えたっけ?」

こう問われると、「あれ?ダメなんだっけ?」から思考がスタートする。
「こうじゃなかったっけ?」と正解を求めるから、その先の流れが速い。

わかるように伝えていないのは、むしろ怠慢ともいえないだろうか。
「誰に教わった?」と聞いたら「あなたです」と返ってくることのないようにしたい。