小学校で行う「体力テスト」
私は体力テストが大の苦手だった。
①背筋力・握力 : 人並み。ただし、第二関節が曲がらないので、正確な数字か不明。
②伏臥上体そらし、立位体前屈 : 人並み。むしろ柔らかい。
問題は、あとの3つのほうである。
③反復横跳び : すぐに息が上がって、足が重くなり、誰よりも遅くなる。
④踏み台昇降 : これも息が上がり、足が上がらなくなり、辛くなる。
⑤垂直跳び : 跳べない、跳ばない。
これを6年間繰り返したら、「体力がない」ということは、わかりそうなものだ。
しかし、子どもだった私自身は「みんなより劣る」という劣等感しか持っていなかった。
教師も親も、「体力がない」という視点で私に接していた記憶はない。
「やればできるはずなのに、この子はなぜ努力しないのだ」という見方だった。
やればできたのか?
必要なエネルギーが不足しているか、もしくは必要な回路が停止しているのだから、できるわけがない。そういう視点で子どもを見ることが出来る大人が、少ない時代だった。
いったい何のためにテストされていたのだろう。
国が統計用のデータを収集するため?
当の本人(もしくは保護者)に、正しく助言と指導が入っていたら、大人になってまで引きずるような「運動嫌い」にはならなかったかもしれない。
大人は自分たちができたことは、「この子にも当然できるはず」と思い込み、「なんでできないんだ?」と子どもにプレッシャーをかける。「なにが障害になっている?」「どうすればできる?」という真因の解決は置き去りになりがちである。
40年前にタイムスリップできるなら、教師と両親に伝えたい。
「この子は、努力するための体力がないか、運動するための機能がほかの子より未発達なんですよ」と。